清水の舞台で知られる京都の有名寺院、清水寺。国宝に指定されている本堂や、重要文化財に指定されている三重塔、仁王門など、その見どころは多岐に渡ります。
清水寺はどのような理由で作られ、今日までの道を歩んできたのでしょうか。観光する上で知っておいた方がいい豆知識は?
清水寺の歴史や、隠れた魅力について紹介します。
清水寺の見どころ
時間がなくてもここだけはおさえておきたい、という清水寺の見どころを簡単にまとめます!
仁王門
清水寺を訪れると、まず目に入るのが仁王門です。別名「目隠しの門」と呼ばれ、朱色に塗られた大きな門がお寺に入ろうとする我々の視界をさえぎります。
しかし、この目隠しの門、お寺の中を目隠しするという意図で作られたものではありません。後述する本堂は高い位置にあり、京都の街を見下ろせます。
この門がないと、当時存在した天皇の住まいである御所を見下ろすことになってしまうのです。そのため、本堂からの「目隠し」として仁王門は作られたのです。
三重塔
その奥にそびえるのが三重塔です。
清水寺の三重塔は日本最大級の高さを誇り、鮮やかな赤の総丹塗りが魅力です。
見どころは、各層の屋根にある鬼瓦で、四隅にそれぞれ取り付けられています。四隅のうち三隅には鬼の顔が描かれていますが、東南のみ龍が描かれているのがポイントです。
水の神様である龍神を祭ることで、火災除けを表しているといわれています。夜間にはライトアップもされるため、写真スポットとしても有名です。
本堂
そしてそのさらに奥、経堂や開山堂などの重要文化財を抜けた先にあるのが本堂です。
本堂は「錦雲渓(きんうんけい)」という影の斜面にせり出すように作られており、本堂の目の前にある「清水の舞台」は高さ約13メートルを誇ります。
清水の舞台は「懸造(かけづくり)」という工法が使われており、釘を1本も使わずに139本の木材(けやき)同士を組み合わせて作られています。
また、この舞台からは毎年「今年の漢字」(日本漢字能力検定協会主催)が発表されているのもよく知られているところでしょう。
本堂の見どころは、ご本尊である「十一面千手観世音菩薩立像」。本尊は秘仏であるため、公開されているのは本尊を模して造られた前立仏ですが、その特徴的な姿が有名です。
左右の腕を1本ずつ頭上に伸ばしており、この形は「清水型」と呼ばれています。
奥の院
本堂の奥にあるのが、重要文化財の奥の院です。清水寺を建立した延鎮上人が修行した草庵の跡と考えられています。本堂と同じ舞台造りになっており、そこからの景色が見どころです。
手で触れて拝むことができる「ふれ愛観音」や、水をかけて心身の清めを祈願する「濡れ手観音」などがあるため、立ち寄った際には実際に体験をしてみましょう。
音羽の滝
本堂東側の石段を下りた先には、3本の筧(かけい)から流れ落ちている「黄金水」「延命水」とも称される「清めの水」が流れています。
これが、寺名の由来でもある音羽の滝の名水です。
清水寺元祖の行叡居士(ぎょうえいこじ)と、開山 延鎮上人(えんちんしょうにん)が、滝による観音行を修練したとのこと。
また、滝祠には不動明王や行叡居士が祀られています。
また、音羽の滝について、詳しくはこちらの記事にまとめましたので参考にしてください。
ただ順路に沿って歩くだけじゃなく、それぞれの建物の名前などはしっかり確認して進むといいよ。
清水寺は案外広くて、いろんなところに目を奪われがちだから気をつけなくちゃね。
清水寺の歴史について簡単に説明
歴史を簡単に知りたいなら、年表だけでも目を通してくださいね。
清水寺の歴史年表
778年 | 大和国子島寺の僧 延鎮上人が開山 |
780年 | 坂上田村麻呂が仏殿を建立 |
798年 | 延鎮上人と坂上田村麻呂が地蔵菩薩と毘沙門天像を造り祀る |
805年 | 坂上田村麻呂が寺地を賜る |
810年 | 嵯峨天皇から宸筆(しんぴつ)を賜り「清水寺」を号する |
1479年 | 応仁の乱の兵火で全焼 |
1633年 | 現在の本堂が徳川家光の寄進により再建 |
1965年 | 北法相宗(きたほつそうしゅう)に改宗 |
1994年 | 世界遺産(古都京都の文化財)に登録 |
お告げがはじまり?
清水寺は宝亀9年(778年)、延鎮上人(えんちんしょうにん)によって建立されたと言われています。
延鎮上人は、夢の中で仏様のお告げを受けて、現在清水寺のある音羽山にやってきました。そこで坂上田村麻呂と出会い、延鎮上人は鹿狩りをしていた坂上田村麻呂に殺生の罪を説きます。
その説教に感銘を受けた坂上田村麻呂は、妻と共に音羽の滝の近くにお堂を立て、これが清水寺の始まりと言われています。
清水寺は810年に嵯峨天皇により公認され、その後興福寺の支配下に置かれました。
比叡山延暦寺に所属する寺院と衝突を繰り返し、本堂をはじめとしたさまざまな殿堂がこの時の戦火によって何度も消失しています。
その後1633年に、清水寺は徳川家光によって再建されます。現在清水寺にある建物の多くは、この時に再建されたものです。
清水の舞台から飛び降りる
「清水の舞台から飛び降りる」ということわざで知られる本堂の舞台(国宝)は必見です。
江戸時代は、観音様に祈願して実際に飛び降りる人が絶えなかったといわれています。
『枕草子(清少納言)』や『源氏物語(紫式部)』には、清水寺や参道の様子が描かれているんだ。
え?そうなの?
昔からずっと続いて愛されている寺院なんだよ。
千年以上経っても、日本中だけじゃなく世界中から参拝に訪れるお寺さんって、すごいことだよね!
清水寺の基本情報
山号 | 音羽山(おとわさん) |
本尊 | 十一面千手千眼観世音菩薩 |
創建 | 坂上田村麻呂 |
開山 | 延鎮上人(えんちんしょうにん) |
中興の祖 | 大僧正 大西良慶和上 |
札所 | 西国三十三所観音霊場十六番札所(千手観音菩薩) |
春の桜、夏の千日詣り、秋の紅葉の季節は、夜間特別拝観によるライトアップが行われ、幻想的な世界を体験することができますよ。
住所 | 京都市東山区清水1-294 |
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電話番号 | 075-551-1234 |
アクセス | 京都市バス 五条坂より徒歩10分 京阪バス 清水道または五条坂より徒歩10分 京阪電鉄 清水五条駅より徒歩約25分 |
拝観時間 | 通常拝観 6:00~18:00(~18:30の日もあり) 夜間拝観 17:30~21:00(18:00~、18:30~の日もあり) 詳細は清水寺の公式サイトを参照してください。 |
拝観料金 | 高校生以上 400円 中学生以下 200円 |
所要時間の目安 | 35~45分 |
公式サイト | https://www.kiyomizudera.or.jp/ |
まとめ
清水寺の見どころと歴史について、分かりやすく簡単にまとめました。いつ頃できたの?建てた人は誰?といった素朴な疑問にお答えしています。
単なる世界遺産の名所めぐりではなく、ちょっとだけでも歴史的な背景を知っておいたり、事前に見どころを聞いておけば、清水寺をより堪能できることでしょう。
ついつい、清水寺周辺の参道のグルメにだけ心を奪われないようにお気をつけくださいね!