「あ!ねぇ、見て見て!結婚式!!」
葵ははしゃいでマッチャを置いて駆けだしました。
京都屈指の名所でもある平安神宮では、土日には結婚式が執り行われることも多く、たくさんの観光客の目にとまり、挙式したカップルも祝福してもらえます。
「わ~いいなぁ。すてき!」
やはり女の子はこういうシーンに心ときめくようで、葵は目をキラキラ輝かせています。
「ねぇ、こういうところで結婚式するにはどうしたら良いの?みんなどうやって申し込むの?みんながみんな、こういう神社の親戚とか、身内ってわけじゃないよね?」
めずらしくマッチャは困りました。
確かに、彼らがどうやってここ平安神宮で挙式しているのか分からなかったからです。
「う~ん」
マッチャが困っていると、葵の質問をすぐ近くで聞いていた巫女さんが「平安神宮の公式ホームページをご覧いただければ、結婚式のお問合せや相談先が分かるんですよ」と教えてくれました。
2018年9月にリニューアルオープンしました!
>> 平安神宮の結婚式
「なるほどね、ホームページか…」
マッチャが呟くと、葵はすかさず「珍しいねぇ。マッチャでも知らないことがあるんだ」とからかいました。
「う~ん、現代社会の波にはなかなかついていけなくてね」
マッチャはちょっと困ったように照れ笑いをしました。
朱色の大きな鳥居が、よく晴れた青空に映えて、その風景の中に白無垢と黒い紋付き袴を来た新郎新婦が並ぶのは、なんだか映画のワンシーンのように見えて、葵はますます憧れの気持を強くもつようになりました。
「葵ちゃんはこういう、神前式の結婚式が良いの?」
「チャペルでドレスか、神社で着物かってこと?迷うなぁ…」
「お式はチャペルで、こちらでは和装のお写真だけ、というカップルさんも増えているんですよ」
さきほどの巫女さんが、また説明してくれた。
「なるほど!それ、いい!!」
だから、相手がいないでしょうに、とマッチャは思いましたが、何も言いませんでした。
「それはそうと、葵ちゃん、ここ平安神宮のご利益は『縁結び』だって知ってた?」
マッチャがそう言うと、隣の巫女さんが「学業成就や商売繁盛などのご利益もありますが、確かに縁結びのご利益を期待していらっしゃる方は多いですね」と追加してくれました。
「へ~。いいですね。縁結びの神社で結婚式かぁ。夢が広がるな~。私も縁結びのお守り買っておこうっと♪」
葵の夢はどんどん大きくなっていくようです。