葵のおばさん案内の予習は今日も続きます。
マッチャいちおしの「女性が喜ぶ神社」というので、2人は八坂神社を訪れました。
「ここは、だって、知ってるよ。祇園さんでしょ?さすがの私でも祇園祭には行ったことあるもの~」
葵はそう言いましたが、マッチャが「おばさんを案内してあげてほしいところがあるんだよ」と言い、葵を連れてきたのでした。
「それって、あれ?『びごぜんしゃ』でしょ?」
「ちがーーーう!!!びごぜんしゃじゃないよ!『うつくし・ごぜんしゃ』って読むの!」
マッチャの剣幕に圧倒される葵をよそに、マッチャは「やれやれ」とため息をついて、八坂神社の本殿の東側に位置する美御前社の前まで葵を連れていきました。
「ここが美御前社ね。おばさんにはぜひおすすめしたいスポットで、力水を飲んでから参拝すると美しくなれるって言われてるんだ」
「うん、読み方は間違ったけど、私もそれは知ってる」
そうです、京都在住の女性の多くが知っている、美の神様が祀られているパワースポットで、近くには美容水というものもあるのです。
この美容水は、飲めば顔や体だけでなく、心まで美しくなると言われています。
また、美御前社に祀られている神様は、市杵島比売命(いちきしまひめのみこと)、多岐理比売命(たぎりひめのみこと)、多岐津比売命(たぎつひめのみこと)の三女神。
特に市杵島比売命はとてつもない美貌をもち、また芸事にも長けていたそうで、ここで参拝すると、美人になるだけでなく、芸事も上達すると言われています。
「あ、そうそう、葵ちゃん、おばさんには『今もキレイだけどさらにキレイになる』って言うんだよ」
マッチャは葵にそうアドバイスしましたが、「女心は女がよく分かっているんだから、心配ご無用」と突っぱねられました。
八坂神社は、美御前社の他にも立派な本堂や、夜の幻想的な風景も楽しめますし、厄除けや縁結びの祈願もできるので、京都を代表するような神社として、一度訪れる価値のある神社です。
「それにしても、ここって、祇園祭以外にも、年中通してしょちゅうお祭りしてるよね」
葵がマッチャに言うと「確かにそうだね。ここは割と高確率でイベントごとと遭遇するから、観光客にとってもおもしろいスポットなのかもね」と返事が返ってきました。
「おばさん来るときに何かやってるか調べてこよう」
そう言って葵はパタパタと境内を走っていきました。