高山寺(こうさんじ)は、鎌倉時代に明恵上人(みょうえしょうにん)によって開基された、世界文化遺産に登録されている京都の寺院です。
明恵上人の遺構であり、国宝の石水院や、犬や猿などの動物が描かれ日本最古の漫画とも呼ばれる鳥獣人物戯画などが有名です。
そんな高山寺の見どころや歴史について、わかりやすく簡単に説明します。
高山寺の見どころ
時間がなくてもここだけはおさえておきたい、という高山寺の見どころを簡単にまとめます。
石水院
高山寺の見どころで真っ先に挙げたいのは、国宝に指定されている石水院(せきすいいん)です。
高山寺が創建された当初、石水院は経蔵という経典などを収納している建物でしたが、後に寝殿造の住居に改造されました。
さらにその後、向拝を付して社殿に改めるなど、改造や移築を繰り返した末に、明治22年(1889年)に現在ある場所に移築しています。
このように何度も改造や移築を繰り返しているにもかかわらず国宝に指定されているのは、鎌倉時代の寝殿造の特色が残っていて、さらに明恵上人の遺構でもあるからなのです。
日本最古の茶園
境内にある日本最古の茶園も見どころです。
栄西禅師(えいさいぜんじ) が中国からお茶の実を持ち帰り、明恵上人が植えたと言われています。育てた苗を宇治に移植し、お茶が全国に広まったことから、お茶の発祥の地とも。
中世以来、栽培が盛んであった栂尾(とがのお)のお茶は「本茶」と呼ばれ、それ以外のお茶は「非茶」と呼ばれていたそうですが、その後、茶園は衰退してしまいました。
しかし、近年になって再興され、5月中旬には茶摘みを行なっています。ぜひ高山寺を訪れた際には、日本最古の茶園のお茶を堪能してみてくださいね。
鳥獣人物戯画(鳥獣戯画)
高山寺は国宝である鳥獣人物戯画も有名です。
鳥獣戯画は甲・乙・丙・丁の全4巻からなり、人や動物が戯画的に描かれ、日本最古の漫画とも呼ばれているもの。
甲巻ではサル・カエル・ウサギなどの動物が擬人化されていて、これが非常に有名ですね。
現在でもいたるところで多くのグッズが販売されていますので、何かしら一つは持っている、という方も多いんじゃないでしょうか。
一転して乙巻は動物図鑑のようになっており、前半ではイヌ・ウマ・ウシなどの身の回りに生息する動物が描かれています。
また後半では、キリン・シシ(獅子)・ヒョウなどの架空の霊獣や日本に生息しない動物たちが描かれていますよ。
なお、高山寺にあるのは模本(レプリカ)です。甲巻と丙巻は東京国立博物館に、乙巻と丁巻は京都国立博物館に寄託されています。
紅葉
高山寺は紅葉の名所でもあります。
表参道では美しい紅葉のトンネルを、石水院では開放感のある紅葉を眺めることができます。郊外だからかそれほど混雑しないので、ゆっくりと紅葉を楽しめますよ。
高山寺の歴史について簡単に説明
高山寺は、奈良時代の宝亀5年(774年)光仁天皇の勅願によって創建されたといわれています。平安時代には神護寺の別院となり、隠棲修行(いんせいしゅぎょう)の場所でした。
その後、建永元年(1206年)に鎌倉時代の僧であった明恵上人が後鳥羽上皇から栂尾の地を与えられ、「日出先照高山之寺(ひいでてまずてらすこうさんのてら)」の勅額を受けたことから、高山寺と名をつけ再興しました。
室町時代に入ると、戦火によって石水院以外の建物を焼失。江戸時代に再建されて旧観をある程度取り戻しましたが、明治時代の廃仏毀釈によって再び荒廃してしまいます。
1931(昭和6)年になると、全国の茶道家によって高山寺に茶室が建てられ、その後は少しずつ倉庫などを再建し復興。鎌倉時代の建物は石水院だけとなってしまいました。
このように、高山寺には紆余曲折な経緯があるのです。
高山寺の基本情報
栂尾山 高山寺(とがのおさん こうさんじ)は、国宝の石水院をはじめ、「鳥獣人物戯画」「明恵上人座禅像」「木彫りの狗児(くじ)」などが有名。
住所 | 京都市右京区梅ヶ畑栂尾町8 |
---|---|
電話番号 | 075-861-4204 |
アクセス | JRバス 栂ノ尾より徒歩約5分 京都市バス 高雄より徒歩約15分 |
拝観時間 | 8:30~17:00(受付は~16:30) |
拝観料金 | 石水院:800円 ※紅葉時期は別途入山料 500円 |
所要時間の目安 | 35~45分 |
公式サイト | https://kosanji.com/ |
まとめ
高山寺の見どころと歴史について、分かりやすく簡単にまとめました。
ひっそりとした山中に佇む高山寺は、紅葉の美しさと鳥獣戯画のお寺です。京都駅からバスで50分ほどかかるため、観光客が押し寄せるスポットではありません。
静寂に包まれ、緑も多くのんびりとした風雅な時間が過ごせる世界遺産のお寺さんです。混雑する場所が苦手な人にはオススメの場所ですよ。