京都南郊の宇治にある平等院鳳凰堂は、10円硬貨の表面に描かれているために馴染みがある人も多いでしょう。
中には「平等院鳳凰堂」という寺院が存在する、と思い込んでいる人がいるかもしれません。鳳凰堂は、平等院という世界遺産に登録されている寺院の敷地に存在する阿弥陀堂なのです。
ここでは、平等院の見どころと、その歴史や由来について説明します。
平等院の見どころ
時間がなくてもここだけはおさえておきたい、という平等院のおすすめ見学ポイントを5つご紹介しますので参考にしてください。
鳳凰堂
10円硬貨に描かれている鳳凰堂は、阿字池の中島にあるため、その姿が水面に浮かんでいるように見えます。
堂内中央の阿弥陀如来坐像は平安時代の有名な仏師である定朝作であり、定朝作で現存している仏像はこれだけだと言われています。
また、屋根の上の鳳凰像は、一万円札の意匠として使われています。
鳳凰堂内部拝観
鳳凰堂の内部を係員の方に案内していただくことができます。(別途300円が必要)
希望するなら、表門から鳳凰堂に向かう途中の右手にある鳳凰堂拝観受付へまず立ち寄りましょう。先着順の受付ですので、定員いっぱいになると締め切られてしまいます。
ちなみに、土曜日の13時過ぎに平等院へ行った私たちは、およそ1時間後の時間指定でした。14時40分頃に受付前を通ると、すでにこの日の拝観は受付終了とのこと。
拝観券は入場時間が指定されます。先に購入しておくことで待ち時間の間にミュージアムへ行ったり庭園を散策したりと、時間をムダなく過ごせますよ。
浄土式庭園
1922年に国の史跡と名勝に指定された浄土式庭園。
平安時代の貴族が希求した極楽浄土の光景を再現しており、例えば庭園の周辺にある阿字池は、極楽浄土にあるとされる宝池を表したものとされています。
その美しさは、平安時代の歌人である橘俊綱(たちばな の としつな)が「当代きっての光景である」と詠っています。
ミュージアム鳳翔館
ミュージアム鳳翔館では、雲中供養菩薩像、梵鐘、鳳凰像といった国宝や十一面観音立像といった重要文化財等を鑑賞することができます。
併設だからとそれほど期待していなかったのですが、現代的で美しくオシャレな建物は、立派な美術館といった佇まいです。
ついつい引き込まれてじっくり見てしまうと、この中だけで1時間くらい経ってしまいそうですので、内部拝観の時間を過ぎてしまわないように気をつけなくちゃいけません。
なお、ミュージアム鳳翔館の建物内は撮影禁止です。
ミュージアムショップでお土産探し
年間15,000個も売れているという平等院の消しゴムが話題となりましたね。
お手頃価格だし、修学旅行生などに人気なのでしょう。けれども、さすがに大人の女性にこのお土産は選べません。。。
なにかいいものないかな~と物色していたら、中川政七商店さんのふきんを発見!
中川政七商店さんは奈良で有名なお店です。カラフルに雲中菩薩さまが描かれているので、台拭きなどにはしづらいかもしれませんが、品質がしっかりしているのは折り紙つき!
きっと活躍していただけることでしょう(*^^*)
梵鐘
天下の三名鐘の一つとされる梵鐘(ぼんしょう)。「音の三井寺、銘の神護寺、姿形の平等院」と言われており、その姿形の美しさで有名です。
国宝に指定されており、かつては切手の意匠に採用されたことがあります。
鐘楼に置いたままだと傷みやすくなる恐れがあるため、現物はミュージアム鳳翔館にあり、鐘楼にあるのはレプリカです。ぜひどちらも自分の目で確かめてみてくださいね。
平等院南門
平等院南門は、創建されたときと同様の鮮やかな朱色に復元されており、紅葉の季節になると、門の奥にあるモミジが赤く色づく様子とのコントラストが楽しめます。
秋の南門をぜひ見てみたいものです。
これは行く前に目を通すべきね。
平等院の歴史について簡単に説明
平安時代、平等院は859年に嵯峨天皇の皇子であり、嵯峨源氏の源融が築いた別荘である宇治院が起源です。その後、宇多天皇、源重信と所有者が変わり、998年に時の摂政である藤原道長の手に渡ります。
末法の始まり
そして、道長の子で関白の藤原頼通が永承7年(1052年)に寺院に改め、寺号を平等院としたのが始まりです。鳳凰堂は、平安貴族が極楽浄土を求めた阿弥陀如来の世界が具現化されました。
1053年には阿弥陀如来座像を安置する中堂、左右の回廊並びに背後の尾廊からなる阿弥陀堂が建てられます。
中堂の屋根に鳳凰像があり、左右の回廊が両翼、尾廊が尾に見立てられるため、阿弥陀堂は鳳凰をかたどったものであると見なされ、江戸時代から鳳凰堂という呼称が定着しました。
宗派
創建されたときは天台宗の寺院でしたが、1500年には浄土院という浄土宗の塔頭が建てられ、浄土宗も兼ねることになりました。
現在は特定の宗派に属さない寺院となっており、天台宗の最勝院と浄土宗の浄土院が共同管理しています。
2001年には敷地内に宗教法人では初となる、総合登録博物館であるミュージアム鳳翔館が建設され、人気を博しています。
平等院の基本情報
10円硬貨でおなじみの鳳凰堂(阿弥陀堂)は、国宝に指定されており、国宝指定の名称も平等院鳳凰堂です。
鳳凰堂以外にも複数の堂塔が建てられていましたが、いずれも消滅しており、現存しているのは鳳凰堂だけとなっています。
住所 | 京都府宇治市宇治蓮華116 |
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電話番号 | 0774-21-2861 |
アクセス | JR奈良線 宇治駅より徒歩約10分 京阪宇治線 宇治駅より徒歩約10分 |
拝観時間 | 庭園:8:30~17:30(最終受付 17:15) 鳳凰堂内部拝観:9:30~16:10(先着順) 平等院ミュージアム鳳翔館:9:00~17:00(最終受付 16:45) |
拝観料金 | 庭園+鳳翔館:600円 鳳凰堂内部拝観:300円 |
所要時間の目安 | 40~90分 |
公式サイト | https://www.byodoin.or.jp/ |
まとめ
平等院の見どころと歴史について、分かりやすく簡単にまとめました。
10円硬貨のデザインは今後変わってしまうかもしれませんが、国宝や世界遺産であるという事実はずっと変わりません。
美しい鳳凰堂と庭園は、季節によってその表情を変えてくれます。宇治という場所もあり、京都市内ほど混雑しませんので、ぜひ何度も訪れてみてくださいね。