天台宗総本山である比叡山の西南に「松ヶ崎大黒天」と称される長い歴史を有した日蓮宗の寺院があります。
正式名称は「妙円寺」といい、京都の夏の名物行事のひとつである「送り火」が行われることでも知られている寺院です。
ここでは、松ヶ崎妙円寺の歴史や特徴、送り火も含めた寺院の見どころについてわかりやすく解説します。
松ヶ崎大黒天の見どころ
松ヶ崎大黒天は「都七福神(みやこしちふくじん)」のひとつである大黒天をお祀りしている寺院です。
大黒天
打ち出の小槌を持ち、俵に乗った姿が特徴的な大黒天は、寿福円満・開運招福の神として崇められています。
本堂の前にはニコニコとした「なで大黒様」がいらっしゃいます。自分のカラダの悪い部分をさすりながら祈願をすることで、よりご利益があるそうですよ。
特に、松崎山妙円寺の大黒天は、昭和44年(1969年)の火災時にも難を免れた強運を持ち「火中出現 火伏守護の大黒天(大黒さま)」として崇拝されています。
また、松ヶ崎大黒天が建つ京都は、福徳を授ける神様として古来より人々から深い信仰を受けていた七福神の発症の地とされています。
京都市内に点在する7カ所の社寺をめぐる七福神巡りの札所を「都七福神」と呼び、松ヶ崎大黒天は都七福神の第一番の霊場です。
年間を通して訪れることができる都七福神ですが、新春に巡拝すると特に功徳が大きいといわれています。
このため、正月に観光するなら都七福神巡りのひとつとして強運の大黒さまを参拝に訪れるのも押さえておきたい楽しみ方でしょう。
妙法の送り火(五山送り火)
さらに、松ヶ崎大黒天は、京都で毎年8月16日に行われる「五山送り火」のうちの火床のひとつとしても有名です。
そもそも、送り火とはお盆の精霊送りの行事であり、松ヶ崎の送り火は日蓮宗の伝道火の意味も持っています。
松崎山妙円寺を麓に置く松ヶ崎山の背後・西側の万灯籠山(松ヶ崎西山)に「妙」の字が、東側の大黒天山(松ヶ崎東山)に「法」の字が点火され、北山通や高野川の堤防などから鑑賞可能です。
「妙」の字は日像上人が杖をもって描き、「法」の字は現在廃寺となった大明寺の二祖である日良上人が東山に描いたとされています。
また、大きさは「妙」が縦横最長でおよそ100メートル、「法」はおよそ70メートルもあり、夜の暗闇に浮かぶ壮大な送り火の光景は圧巻です。
松ヶ崎大黒天の歴史について簡単に説明
松ヶ崎大黒天は、伝教大師(天台宗最澄上人)をご本尊とする寺院で、江戸時代初期に創建されました。
松ヶ崎大黒天周辺へと教えが広がったのは、1294年に日像上人により法華経が広められたことが由来とされています。
日像上人は、日蓮宗の宗祖である日蓮聖人の孫弟子です。その後、1306年になると、松ヶ崎のすべての村に教えが広がり、日像上人のお導きによって全村が法華経を基とする日蓮宗に改宗したといわれています。
さらに、元和2年(1616年)になると、松ヶ崎大黒天の隣に位置した現在の涌泉寺にあたる本涌寺のなかに、本覚院日英上人の隠居所が建てられました。
そして、本覚院日英上人により開基・開創されたものが、松ヶ崎大黒天の始まりとされています。
松ヶ崎大黒天(妙円寺)の基本情報
正式名称は、山号が松崎山、寺号が妙円寺、通称が松ヶ崎大黒天です。
江戸時代初期に本格院日英上人により創建された日蓮宗の寺院。
年に6回行われる甲子大祭(きのえねたいさい)は、甲の日が縁日で、祈祷が行われて大黒天のご幣が授与されます。当日は大黒天そばの出店などもあって多くの人が訪れます。
住所 | 京都市左京区松ヶ崎東町31 |
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電話番号 | 075-781-5067 |
アクセス | 市バス 松ヶ崎大黒天より徒歩約5分 叡山電鉄 修学院より徒歩約15分 地下鉄烏丸線 松ヶ崎駅より徒歩約20分 |
拝観時間 | 9:00~17:00 |
拝観料金 | 無料 |
所要時間の目安 | 約10~15分 |
公式サイト | http://matugasaki-daikokuten.net/ |
まとめ
松ヶ崎大黒天(妙円寺)の見どころと歴史について、分かりやすく簡単にまとめました。
こじんまりとしているものの、高台にあるため空が近い!とても気持ちの良いお寺さんだと思います。交通の便がそれほど良くないためか、そこまで混雑しないでしょう。
境内のあちこちに大黒天さまが鎮座しています。ゆっくりとした時を過ごしつつも、ぜひウロウロと見て回って探してくださいね。