歴史情緒あふれる京都には、一度は訪れたいという名所が多くあります。また世界遺産の中でも、文化遺産と呼ばれる歴史上重要な建造物や遺跡などの見どころも盛りだくさん!
苔寺の別称もあるほど親しまれている西芳寺は、観光する場所に事欠かない京都の中でも「ゆっくり過ごしたい」と思える場所。
京都らしい雰囲気を味わえる観光場所として人気を集めている西芳寺について、見頃どころや予約方法など、わかりやすく紹介します。
西芳寺(苔寺)の見どころ
予約制の西芳寺では、時を忘れてずーっと居座る、なんてことはできません。限られた時間の中で、しっかり見るべきところを見ておいてくださいね。
苔の庭園
見どころは何と言っても庭園です。35,000平方メートルもの広さがある庭園は、約120種類の苔が緑のじゅうたんを敷き詰めたように広がり、その美しさは壮観の一言に尽きます。
境内を覆う苔の見事な美しさから、苔寺という別名が付けられているのです。
四季折々の自然が楽しめる西芳寺ですが、特におすすめの見頃は、紅葉の季節でしょう。
紅葉と苔のコントラストが趣深く、紅葉の時期の京都は混み合う印象がありますが、西芳寺は参拝者を制限しているため、混雑せず見られるのも魅力です。
石組
庭園は、造園に優れた夢窓疎石(むそうそせき)の手によるもので、上下二段構えの、枯山水庭園と黄金池(心字池)を中心とした池泉回遊式庭園の2つから成り立っています。
枯山水庭園には三段の枯滝石組があります。一段目にある鯉魚石(りぎょせき)と三段の滝の岩組で、鯉が滝を登り龍となる龍門瀑(りゅうもんばく)が表現されています。
さらに、池泉庭園に数個の石が一列に並ぶ「夜泊石(よどまりいし、やはくせき)」。こちらは海に停泊した宝船が表現されています。
こういった岩組からも、禅の修行場として夢窓疎石が庭を造った時代の面影を感じられることでしょう。
例のわび・さびってやつよね。確かに!
西芳寺(苔寺)の歴史について簡単に説明
西芳寺は、1300年前に行基が開山しました。開山前には聖徳太子の別荘があったと言われています。鎌倉時代には荒廃してしまった寺院ですが、暦応2年(1339年)に禅僧の夢窓疎石が復興させました。
その後度々洪水の被害に遭いますが再興され、現在の苔に覆われた庭ができたのは江戸時代末期です。何度も再興を繰り返してきた西芳寺は、1994年にユネスコの世界遺産に登録されました。
西芳寺は当初「西方寺」でした。この名前の由来は、「阿弥陀如来が西方の極楽浄土から迎えに来る」という意味だと考えられますが、「祖師西来」「五葉聯芳」という禅宗始祖の句にちなみ、禅僧である夢窓疎石が「西芳寺」と改めた経緯があります。
現在では、境内の庭を覆う苔の見事さから、「苔寺」という愛称で親しまれています。
西芳寺(苔寺)の見学は完全予約制
西芳寺では、観光ブームから観光公害が徐々に生じたために、少数参拝制を実施しています。そのため、逆にゆったりと参拝できるのが魅力でしょう。
予約方法は、往復ハガキのみ。
参拝希望日の2ヶ月前より受付が始まり、遅くても参拝希望の1週間前までには着くように申し込む必要があります。
ハガキには、参拝希望日(複数書いてもOK)や参拝する人数、代表者の住所、氏名、電話番号を記します。時間指定はできないため、注意しましょう。
法要などによって参拝ができない日もありますし、一日の上限を超えてしまったなど、申込状況によっては希望日に参拝できない場合もあります。
特に梅雨や紅葉の時期は申込みが殺到しますので、早めに応募しましょう。
後日参拝時間も記載された返信ハガキが届きます。これが参拝証となるため、当日忘れずに持参してくださいね。(忘れると残念ながら参拝はできません。)
参拝では単に庭園を見学するだけでなく、説法を聞き、読経と写経をします。
西芳寺(苔寺)の基本情報
臨済宗の寺院である西芳寺は、世界遺産に登録されているだけでなく、国の特別名勝にも指定されています。
2019年6月1日より、参拝は中学生以上の方のみという条件がつきました。ただし、年に数回は子供中心の参拝日が設けられますので、公式サイトをチェックしてみてください。
住所 | 京都市西京区松尾神ケ谷町56 |
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電話番号 | 075-391-3631 |
アクセス | 京都バス 苔寺・すず虫寺より徒歩約3分 |
拝観時間 | 7~9月 10:00~ 10~6月 13:00~ |
拝観料金 | 3,000円~ |
所要時間の目安 | 約60分 |
公式サイト | http://saihoji-kokedera.com/ |
まとめ
西芳寺(苔寺)の見どころと歴史について、分かりやすく簡単にまとめました。
事前申込制のため手間はかかるものの、きちんと準備しておくことで、京都屈指の名庭である池泉回遊式庭園の紅葉時期の絶景でも混雑なく参拝することができる場所です。
まわりも自然の美しさが感じられる散策コースとなりますので、日頃の喧騒を忘れ、静寂の中で心ゆくまで癒やされる時を過ごしてみてはいかが?